ねこ

非常宣言のねこのレビュー・感想・評価

非常宣言(2020年製作の映画)
3.8
エンターテインメント作品という顔をしながら現代社会の気持ち悪さを鋭く突いてくる巧さ
辻褄が合わなかったり曖昧だったりする部分はいくつもあるが、2大スターの存在がそれごと作品を引っ張っていく
よくわからない犯人の動機、守ってくれない政府、他国の無関心、ネット社会の功罪、数字で操作される世論、形骸化してしまったルール、利己的な大人たちなど、人間の毒が次から次へと吐き出され、まさに今、我々を取り囲む息苦しさや歪んだ正義が執拗にいやらしく描かれていく
ただ運悪く巻き込まれてしまっただけの人間に“感謝します”と言わせてしまう空気
多数のためなら仕方がないと言ってしまえる恐ろしさ
犠牲を強いる方にも自らそれを選択する方にも腹が立って仕方がないのだが、このどうしようもない感情は国連関連のニュースを見たときとよく似ている、そう気が付いた途端、怒りが急速に萎んでいくのを感じた

利他的な者が馬鹿を見る
そんな時代に生きている
ねこ

ねこ