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非常宣言のNowLoadingのレビュー・感想・評価

非常宣言(2020年製作の映画)
3.5
 本日の一本。

 理由なきテロに巻き込まれる仁川発ホノルル行きの乗員乗客一同。雲の上というクローズドパニックに相応しい舞台で戦慄の惨劇が始まる。

 コロナ同様の三密(密集密接密閉)の条件下でクラスターが発生するにも関わらず清潔ゾーンと不潔ゾーンを分ける様は現実を忠実(なれどもコミカルに)に再現された。なによりこれをコミカルだなぉと観れるのはアフターコロナの世界であるからだろう。ご当地ナンバーで差別するような世界をずっと見守ってきたからこそうんうんこういうのあるよねと引いた目で観れるのだと思う。

 それにパニック映画には必須のあの芝居がかった大げさな演技は韓国映画にピッタリで混沌とする飛行機内とソウルの人々を稚拙なく描けている。個人的にはゴジラのような目に見える脅威の方が映画としては好みだが映画は現実の投影であるという映画の役割を鑑みれば十分にその責務を全うしている。

 ただ勿論流石に笑えない点はある。ハワイがバイオハザードを起こした飛行機の着陸を拒否するのは分かる(米国本土からは離れているし)が外でもない我が国があんな拒否の仕方は有り得ないだろう。燃料がないから成田に降ろせと話しているのに空自が威嚇射撃してどうするのか。万が一旅客機が墜落してその下敷きになる人がいたらその責任は勿論国にあるわけだ。作劇の都合だろうが帰したいなら先ずは成田の滑走路で陸自の武装待機状態で給油させて仁川でも金浦でも行けやと言うのが筋だろう。結局落として病原体が漏れたら末路は同じであるのだ。

 ツッコミどころはあるが、CGのビジュアルなどはかなり気合入ってて「メーデー!:航空機事故の真実と真相」などとは比較出来ないような迫力のある映像美も良い。パニック映画として抑えるところもちゃんとしてるしこういうの好きなら見逃すには惜しい一作だ。
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