竜平

ザリガニの鳴くところの竜平のレビュー・感想・評価

ザリガニの鳴くところ(2022年製作の映画)
3.8
アメリカ、ノースカロライナ州のとある湿地にて発見される男性死体、その地に何やら一人で暮らしているという若き女性が殺人の容疑者として連行されてしまうが、果たして真相は、というところから始まる話。

人里離れた湿地帯にて独り暮らしていて町の人からは「湿地の娘」と疎まれている主人公カイア。今回の事件の裁判と同時に、彼女の幼い頃から今に至るまでを徐々に回想していくという流れ。知られざる初恋や失恋や、元々ある孤独とその中での切ない人間模様などが描かれていく。そこには親切な人もいれば汚いやつもいて、様々な関係性というのが現代の事件へと繋がっていく。ミステリーであり、ラブストーリーやヒューマンドラマの要素も少々で、旨味がなかなか多い。主演のデイジー・エドガー=ジョーンズが無垢でありつつ芯の強い女性を魅力的に演じてる。またデヴィッド・ストラザーンが弁護士役を好演してたり。

変わり者、逸れ者をやっぱりどこか蔑んだ目で見てしまう自分たちにも問われるような内容になってるんだよなと。作品としては二転三転していくようなものでなく、意外と直球という印象。で、どんでん返しとは言わないけど、ラストまで見てわかる仕掛けもしばしば。じつはいろいろ伏線があって、後々思い出す感じ、そーいえばそうだった的な。ちなみに俺は完全にそこらへん拾いつつ、ラストは見事に予想的中しましたっと。まぁオチに特化してないし、映像やら設定とストーリーの掛かり方やら、更にはタイトルに込められてる意味まで考えるとおもしろい。ミステリー好きには味ちょい薄め、そうでない人にはそれなりに満足の一本になるのでは。
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