歩くチブ

クラークスの歩くチブのレビュー・感想・評価

クラークス(1994年製作の映画)
4.5
ある男のとにかくツいてない1日。

最高にクールでアホな映画や笑

まず休日出勤のコンビニ店員という設定が最高。朝の6時に電話で起こされ、渋々シフトに入ったら、シャッターの南京錠にはガムが突っ込まれてるし、客には罵倒され悪者扱い。彼女は浮気(のようなこと)してるし、踏んだり蹴ったりでこうなったらコンビニ店員やりながらプライベートもやってやると開き直り、屋上でホッケーやったり葬式に出たりとやりたい放題。でも、気持ちは分かる。だって休みだったはずの1日なのだから。

始まりから終わりまで畳み掛けるように踏んだり蹴ったりが続くわけだけど、会話が面白いから全く飽きずに観れる。初期のジムジャームッシュの映像にとても分かりやすい笑いと皮肉を取り入れたような白黒作品。その時点で面白い。

店員(CLERK)の経験がある人ならさらに楽しめること間違いなし。コンビニとかレンタルビデオ店って狭い世界かもしれないけど、いつどんなお客さんが来るか分からないって時点で無限の可能性を感じる。

いつも交番で見かけたアル中のおばさん、女の子のレジでしか会計しないおじさん、AVの大量に入ったかごをレジに持ってきて笑顔でちょっと待ってね、と言ってまた大量のAVを持ってくるおじいさん。仲良くス○○ロを借りる中年の夫婦。タイトルが思い浮かばずジェスチャーでこれありますか?って聞いてくるギャル。
今思うと、レンタルビデオ店って最高に楽しかったな。

「店員の肩書きに縛られたら客の顔に水は吐けない、行動を支配するのは自分自身さ」

当時この映画を観てたら、真っ先に溝口先輩に教えたのに。溝口先輩は僕にソウルトレインという緩い映画を教えてくれた。とても優しくて変わったAVばかり観てた先輩だった。

この映画を溝口先輩に捧ぐ。
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