生活の所作
朝、ほうきの音で目覚め、布団を畳み歯を磨き仕事着に着替え、植物に水を与え霧吹きを持った手でそのまま部屋の電気を消す。一つ一つの連動した所作が彼の一日を紡ぐ。鍵の置き方一つとってもまるで熟練された職人技のようにこなれている。
ポケットから小銭を取り出し家の前の自販機で缶コーヒーを買って車に乗りこみ、カセットテープを取り出す。ルーリードやパティスミスが流れる東京の空。まだ朝。
木漏れ日、それが二度と再現されない光と影の羅列だとすれば、変わらないはずの日常も二度と再現できない。なんて残酷な救いだろう。空を見て音楽を聴いて誰かと会って別れる、全てを思い出すことはできなくても、ひたすらに続いていく。ただ、僕は気にしないふりをしていただけなのに。ひたすらに。
ちょっと、これは演出がじみているし役所広司の化物みたいな演技力にはやられた。好き好んで役所広司の映画を観てるわけでもないし特別好きなわけでもないが表情にやられた。
エンドロールで静かに号泣。
Spotifyでサントラを聴きながらその足で本屋によって幸田文の木を買って帰るくらいの影響を受けた。
Spotifyにあるかな?
どこにあるの?そのお店
ってやりとりを思い出しながら