ザリくん

知られざるマリリン・モンロー 残されたテープのザリくんのネタバレレビュー・内容・結末

3.3

このレビューはネタバレを含みます

急死したマリリンモンローの"死に至る病"
そこには他殺説や陰謀論が渦巻いていた。同名書籍の著者が語る、650本にも及ぶ関係者からの録音テープを元に死の経緯を追究するドキュメンタリー映画。題材はアメリカ受け良さそう。

マリリンに関する知識が元からある程度ある人にとっては目新しい情報はないにしても、今まで40,50年代のハリウッドに触れてこなかった自分には十分新鮮に楽しめた。

ネトフリの事実追究ドキュメンタリーは、結論ありきで主張に都合の良い証言ばかりを集めた偏った内容のものが多い印象があったが、今作は陰謀論を肯定することなく複数面から真実を明かそうとする姿勢を感じた。珍しく誠実な内容だが、その分得られるゴシップな刺激は少なかったのだろう。おまけに証言インタビューの数が異様に多いので掘り下げの割に疲れた。

録音テープの内容を時系列順に整理し、マリリンの生い立ちから活躍、死去後の噂に至るまでを組み立て、最後に著者の推論を述べて映画は終了する。

前半はとにかくマリリンの株が上がる。壮絶な幼少期を過ごした過去がありながら、40年代の女性搾取社会気味なハリウッドを彼女は屈することなく力強く生き、女性であることを武器に活躍していった。銀幕で涼しげな服をなびかせているイメージしかなかったが、何でも器用にこなすスターだったと知った。This is itを見ている気分になった。
彼女は上昇志向も非常に強く努力を惜しまない一方で、里親を転々とした家なき子(虐待の事実もあったらしい)の過去が心に深く傷として残り、歪んだ父性像に囚われていた。父親とセックスして復讐まがいのことをしてやりたいの発言は怖かった。
中盤は誰と付き合って破局したか等のゴシップネタが多くて少し眠くなった。が、ケネディ弟との関係も段々根も葉もない噂ではなくなってきた。
ラスト30分くらいから元彼が共産党員だったことがFBIから明かされ、冷戦時ということもあり空気が変わった。
そしてオーバードーズによる急死、死後ケネディ弟との会話テープはFBIにより押収された。アメリカは陰謀論に沸き立つ・・・

自分も著者と同じ単なる自殺のように感じる。愛着障害は一番の死に至る病だと思う。不幸にも愛の優しさと残酷さに振り回されたのが大きな要因のように思えた。しかしFBIが民衆に妙な邪推をさせない為に政治的な物品を回収した結果かえって陰謀論の渦が広がったように感じる。アメリカあるあるな気がする。

ちなみに
マリリンの例のスカートがめくれ上がるやつ、スカートの中身を見るために1万人殺到したくだりは笑った。完全に絵面が、コミケでレイヤーの周りに群がるカメコだった。セックスシンボルはどの国でも強大な引力を持つことを実感した。
ザリくん

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