シネラー

劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)のシネラーのレビュー・感想・評価

4.0
前作"新宿プライベート・アイズ"に続く
最新作を公開初日の朝一に鑑賞。
ドタバタ劇の中にシリアスがある
相変わらずの『シティーハンター』だが、
最終章突入となる大きな盛り上がりで
締め括られる展開に痺れるばかりだった。

動画製作者アンジーからの依頼を切欠に、
冴羽獠が自身の育て親である
海原神と対峙していく物語となっていたが、
原作要素とオリジナル展開を練り上げて
新たな物語を作り上げていると思った。
物語的には獠に依頼した
アンジーが大きな主軸となっており、
真の目的がありつつも獠と香と
関わっていく姿が中盤までで描かれ、
終盤ではアクション盛り沢山の中で
彼女の最後の依頼へと繋がっていくのが
印象深く、涙腺を刺激する部分だった。
その裏で暗躍する原作の
実質的ラスボスである海原神が
アニメ版としては初登場を果たし、
本作で決着といかないものの
今後の展開に期待しかない登場だった。
全体的に対人アクションでの肉弾戦と
銃撃戦にカーアクションが多かったのは、
前作よりも嬉しい要素でもあった。
海原以外に登場する敵側の2人も、
人間味ある描写が多いだけに単純な
当て馬のような悪役でないのが良かった。
物語がシリアスになっていく為か
中盤までのコメディ場面は多くあり、
前作よりも獠が"もっこり"して香に
鉄拳制裁される場面も増えており、
その上でアクロバティックな描写も
無駄に凝っていると思った。
前作から引き続き登場する
キャッツ・アイと獠と海坊主の冒頭での
変態的な絡みから楽しく、
コンプライアンス厳しい時代でも
変わらないノリが良かった。
そして、お決まりの「Get Wild」からの
エンディングの入りも素晴らしく、
正にシリアスで心震える導入と当時の
エンディング映像をオマージュした
内容で嬉しかった。

気になった点としては、
本作に『ルパン三世』や
『タマ&フレンズ うちのタマ知りませんか?』
のカメオ出演があるのだが、
それらの要素は物語的に不要な為、
余計なノイズで物語のテンポを
損なっていると思わない事もなかった。
又、海原が終盤でようやく手にした
エンジェル・ダストを破棄したのは、
よく分からない点ではあった。

前作は『シティーハンター』が変わらず
帰って来たという印象だったが、
本作はそこから物語が動き始めたと
感じさせる内容で、
シリアスな雰囲気が好きな身としては
前作よりも好きな映画だった。
是非とも続編となる最終決戦を
今のキャスト陣とスタッフで
早く製作して欲しい。
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