けろけろ

別れる決心のけろけろのレビュー・感想・評価

別れる決心(2022年製作の映画)
4.5
直接的な暴力描写・性描写はそこまでなく、僕の中で勝手にイメージしてたパク・チャヌク「らしさ」は薄まっていた。大枠のストーリー自体もそこまで奇抜でなく、ある意味王道だし。しかし、それでいて、有無を言わさぬ映像美はやっぱり「らしいな」と感じた。予告で使われてるような山や海での捜索の場面とか、車の中で手錠で繋いでるシーンとか。(余談だけどポスターすごく好き)
全体的には、『氷の微笑』から直接的な性描写を抜いて、そして現代版にアップデートした作品だと感じた。具体的には、(これは試写会後のトークの受け売りだが)伝統的には男性目線でファム・ファタールとしてミステリアスな女として描かれるだろうソレの裏側を丁寧に描いているので、ステレオタイプではない。
それこそ『氷の微笑』のような性描写はあんまりなかったが、官能的な映画に仕上がっている。それは、間違いなくタン・ウェイの魅力によると思う。キャスティングの時点で勝ち。もちろんそれを撮る側の技量もあるだろうけど。いくらでも見れる。綺麗すぎ……
虚実混じっているし、登場人物もそこそこ多く、「犯人なのか、そうじゃないのか」も何度か裏切られるのでストーリーは追うのが地味に大変だった。この映画の本質(?)はそこではないと思うので、世界に入り込めば楽しめるはず。何度か見たいと思わせる映画だし、色んな切り口で見れる映画かなと思う。
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