これは快作だ!『フレンチアルプス』『ザ・スクエア』でやりたかったことを更に大規模に成功させた監督の作家性に拍手。どこまで人をバカにしていくのか、今後の作品も早くも楽しみ。
中盤のスラップスティック(こういうのを見ると筒井康隆っぽい!とつい言ってしまう)から、後半ジャンルが変わってやや凡庸になるが、大事なのは若い主人公カップルの関係の変化だろう。冒頭からしつこく続く2人の議論が実は、「フェアであろうと振る舞っている側」こそが全くフェアではなかったことを「一見狡猾に見えた側」が狡猾なタイミングで指摘するところでゾッとした。
「野生においては人間社会での関係性は逆転する」という、このジャンルではそれ以外の教訓がありえないくらい陳腐な教訓ではなく、「人間は持った属性からは逃れられない」ことが芯のテーマであろう。
【爆笑したポイント】
・主人公の若い男が船の上から見たとある光景、
・映画史上最多級体積の飛び散るアレ
・歩けない乗客とそもそも傾かない船員の対比
・タコの下処理できる人〜
原題は「悲しみの三角形(眉間による皺のこと)」で既にわかりにくいんだけど、邦題がさらにわかりにくい!もっと変えないと!