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ヨーロッパ新世紀のude2baruのレビュー・感想・評価

ヨーロッパ新世紀(2022年製作の映画)
3.6
ルーマニアの小さな田舎村で起こる外国人労働者排斥を中心に人々の醜い内面を映し出していく作品。
物語のもう一つの軸として暴力沙汰で地元に帰ってきた男マティアスと一時的な失語障害になった彼の息子の話が据えられている。
冒頭の暴力事件のシーンではマティアスがジプシーと揶揄される。外国人に偏見を向ける彼らだが一度外に出れば差別を受ける立場であろうことがうかがえる。
彼自身は差別には比較的無関心だがそういった少数民族としての抑圧や片田舎の経済格差から生まれる不安や苛立ちの捌け口として外国人労働者の排斥運動が起こるのだろう。
クライマックスの集会シーンではそれらの不満が爆発する様子を淡々と長回しで描いていく。
この閉じた村に先行きはあるのだろうかと感じさせる描写の数々は現実の欧州諸国とも重なり考えさせられる映画だった。
主人公がとにかく粗暴で嫌な父親で、彼が父親として空回る姿も印象的だった。
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