心の動き、葛藤、自責の念を丁寧に丁寧に描いた作品
見始めてしばらくして、流行りのLGBTQな要素を使ったり、それぞれの人間関係を出しつつ単純な感動を誘うんやろうなぁと、思って観ていましたが、後半になると間違いにやっと気づいて見入ってしまいました。最後は分かりやすい感動とは全く逆な事が分かり申し訳なくなりました。
LGBTQな要素も匂わせつつ少年の思春期を通過する時の心の動きや自責の念を、本当に丁寧に丁寧に丁寧に 描いています。
ストーリー自体はある種単純で短いものだが、単純に泣かしたり、感動させたりしない様、時間を使って丁寧に演出されています。
☆☆☆ネタバレ含む☆☆☆
この映画の登場人物は、悪い人がいないです。もちろん捉え方によっては色々悪いですけど…
子供達もそれぞれ、無自覚の残虐性を持っていますものね。
特に印象的だったのは、主人公が自責の念に囚われている時に、アイスホッケーの1人のチームメイトをみんなで叩いていてそれに笑って参加しているシーン。
無自覚なんですね。
悪ってなんだろう。
主人公が何度もレミの母親に打ち明けようとするが逃げたり、誤魔化してしまうとこや、
自傷的なものに逃げたり、
レオの兄がレミの父親に未来を嬉しそうに語ってしまったり、
レオがレミの母親に打ち明けたシーンも、母親は突き放してしまったり、
最後そのレミの家も引っ越ししてしまう。
ありきたりな正義、優しさで解決しない所がこの映画の良さだと感じました。
誰しもそんなに強くないし、間違えもする。自分含めて許すことさえ難しい
その中で苦しんでも未来をみて生きていく再生の物語でした。