藍紺

クライムズ・オブ・ザ・フューチャーの藍紺のレビュー・感想・評価

4.0
痛みは人間にとって忌むべき感覚だと思ってたけど、それこそが生きている証だったりするのかな。痛みを感じない世界では人々がこぞって体を切り刻んだり、臓器摘出ショーがアートになったりするのです。人間の快楽に対する追求はどこまでも無限でつくづく業が深い。カラダから内蔵が取り出されるのを大勢の観客が見に来る姿を見ていると、誰からも理解されない性癖なんてものはこの世には存在しないのだと思わされる。

デヴィッド・クローネンバーグ監督、御年80歳。今作は構想20年とのこと。その甲斐あってか環境汚染や社会問題だったり難題が山積みになっている現代にふさわしい作品になっている。インタビュー記事を読んでも感じたことだけど、監督自身が人体の無限の可能性を信じているんだなっていうのが映像からも伝わってきて、おじいちゃんスゲぇなとただただ圧倒されました。ヴィゴ・モーテンセンがクローネンバーグにどんどん似てきてて面白い。ミューズどころか、あれはもう自分の分身みたいなんだろうね。
藍紺

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