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聖地には蜘蛛が巣を張るのgenarowlandsのレビュー・感想・評価

聖地には蜘蛛が巣を張る(2022年製作の映画)
4.0
鑑賞後の怒りと不快感半端なかったです。娼婦連続殺人事件は現実にあった話で、犯人が世の中を浄化している正しい行いだと支持され英雄視されていたことも事実。

この事件の土台にあるミソジニーが宗教由来だとしても、司法の裏背景に合点がいかない。結果的に国際的メンツを考えての裁きになったんだろうけど。

女性記者も実在し、演じた女性(女優ではなくスタッフ)の実際の経験を入れています。

先の「ある女優の不在」でも引用したジェンダーギャップ(144国中)のランキングでイランは139位。日本は111位で中東レベルと言われています。

中東の中では戦争で経済的に疲弊した国の方がイスラム教の厳格な国よりジェンダーギャップが広がること。
本作でも戦争で殉教(戦死)できなかった男の代償行為が、浄化という名の娼婦の殺人でした。

戦争や社会の競争で疲弊し自信を失っている男性が刃を向けるのは、自分より弱い立場。

厳しい社会環境、とくに戦争(メタファー含む)で必要とされる男性性があり、男性が男性性を誇示しなければ生き抜けなくなる-負の連鎖。

女性の人権の向上には、マチズモに縛られた男性をその負担から解放することが必要なんだと強く思いました。平和であることもその一つ。
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