あしたか

ゴールデンカムイのあしたかのレビュー・感想・評価

ゴールデンカムイ(2024年製作の映画)
4.0
(原作はアニメで途中まで見ている程度)
1作目に限って比べれば、過去に漫画実写化で成功したアクション映画(るろ剣、キングダム)を上回る面白さ。今回が売れれば超大型シリーズに発展するポテンシャルを感じる。

HiGH&LOWシリーズを撮っている久保監督だけあって、アクションは安定の面白さ。
冒頭の戦場をはじめ映像には安っぽさは感じないので安心して見られる。北海道の銀世界は映画館での鑑賞に相応しい美しさ。
リアリティの面では一部の衣装からコスプレ感を感じる以外は不満は無い。1本の映画としては不自然なキャラクター配置は原作漫画ものとしてはあるあるなので、まあ許す。

この映画を面白くしているのはアクションやスケール感よりも、アイヌの人々や文化の描写だと思う。異文化はとても新鮮で興味深いものに映る。アイヌの村落のシーンは本作のハイライトだろう。
きちんとリスペクトを払って作られているのが感ぜられ、安易な映画化ではないと判るのは好印象。

杉本とアシリパの関係が深化する過程を段階を踏んで丁寧に描いているのは素晴らしい。
それも含めて2時間程度の長さでこの物量の物語を上手い具合に消化しているのには驚いた。大抵この手の作品はキャラクターの見かけと展開を原作に寄せることに終始し、キャラクターが機械のように動くものだが、本作では全くそういう無理を感じる場面は無かった。感覚としては2時間半くらいの映画を見た気分。
これは役者陣のレベルが高いのが一因だろう。漫画の癖のある(ネジの外れたような)キャラクターを演じるのは難しい筈なので。特に山田杏奈と矢本悠馬はアシリパと白石にしか見えない。変顔が上手いとかそういう小手先レベルではない演技の上手さがある。

続編は間違いなく(2部作とかで)作られるとは思うが、そこで問題になるのは原作の壮大で深みのある物語をいかに省略し圧縮し映像作品として仕上げるかである。俳優やアクション云々よりも脚本・脚色に面白さがかかっていると思う。
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