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ブラインドマン/タイタニックを見たくなかった盲目の男のrebのレビュー・感想・評価

4.0
2017年に観たテーム・ニッキ監督の「ペット安楽死請負人」がコメディとバイオレンスのバランスが絶妙ですごく面白かったので、今作も期待して臨んだのだが、まぁドキドキハラハラしましたねぇ。
MS(多発性硬化症)で車椅子生活を送る視覚障害者のヤーッコ。演じるペトリ・ボイコライネンも同じ障害を抱えている。
毎日電話で話すだけだった女性が病気になり、一念発起してひとりで会いに行く。
ヤーッコは自らの体の不自由さに苦しみながらもユーモアを忘れず、見えていた頃に集めた、沢山のDVDやビデオに囲まれて暮らす映画オタク。タイタニックは嫌いでDVDは持っているがまだ観たことはない。好きな監督はジョン・カーペンター。
何がドキドキしたかというと、82分間我々はヤーッコと全く同じように、視覚を失っていたからだ。
家の中も、ヘルパーさんの顔も、美しい街並みも、電車も、悪党の姿もモヤがかかってはっきりとはわからない。
自分が今どこにいるのか、周りに何があるのか全くわからないというのが、これほどの恐怖体験なのかを、今更ながら思い知った。
だからこそ、ラストに唯一しっかりと映し出された、初めて会う女性の姿には胸が熱くなる。
上映後のQ&Aで、病気の進行が早いペトリさんの体調を考え、3週間で撮りきったというプロデューサーさんのお話を伺って、また胸が熱くなった。
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