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ブラインドマン/タイタニックを見たくなかった盲目の男のCHEBUNBUNのレビュー・感想・評価

3.7
【映画デッキで戦う男】
国立映画アーカイブ開催されているEUフィルムデーズ2023に行ってきた。昨年、フィンランド映画祭で観逃がして後悔した『タイタニックを見たくなかった盲目の男』が邦題『ブラインドマン』に変わり上映されるからだ。特にあらすじを調べずに観たらびっくりする内容であった。

盲目で下半身付随な男Jaakko(ペトリ・ポイコライネン)には電話友達がいる。Sirpa(Marjaana Maijala)と映画の話で盛り上がったりして、難病持ちながらも楽しく生活を送っている。そんなある日、彼女の体調が悪いことを知る。心配した彼は一人で彼女の家を目指す。映画が『サウルの息子』のように至近距離で彼の顔を撮る。周囲はぼやけて映し出されており、盲目である彼に歩み寄ろうとしている。しかし、このぼやけた画と電話での会話だけで映画は持つのかと正直不安に思っていた。最初の20分ぐらいは正直退屈に感じていたからだ。

しかしながら、彼が旅を始めると急に面白くなっていく。一人で移動するもんだから不安要素しかないのだ。そんか彼の元にいかにも怪しいグラサン男が現れ、車椅子から何かを盗もうとするのだ。なんとか撃退し、列車の座席に着く。そんな彼の前に一人の男が座る。Jaakkoは何気なく彼とおしゃべりを始めるのだが、その相手は......さっきの泥棒男だったのだ。

そしてJaakkoは彼に嵌められ、誘拐されてしまう。映画は急にサスペンスへと発展していくのだ。しかもJaakkoは犯罪者相手に映画トークデッキで戦おうとしてくる。突然『ファーゴ』デッキで有利に立とうとするのだ。

一発芸的内容なので短編映画向きな気もするが、自由なアイデアの勝利。本作は難病である監督の友人と楽しみながら作ったそうなので、なんかホッコリする作品であった。
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