Jun潤

プアン/友だちと呼ばせてのJun潤のレビュー・感想・評価

プアン/友だちと呼ばせて(2021年製作の映画)
3.7
2022.08.06

予告を見て気になった作品。
個人的に初?のタイのドラマ。
余命幾許もない青年が過去を振り返る旅に出て、同行した友人に秘密を打ち明ける、過去回想×ロードムービーの予感。

NY・マンハッタンでバーテンダーをするボスの元に、かつての友人で癌を患い余命幾許もない青年・ウードから連絡が入り、タイ・バンコクへ赴く。
ウードは化学療法を受けておらず、ボスは過去の恋人たちに会う旅に連れ出される。
ボスとウードが過去に決裂した日にいた女性・アリスの元を訪れ、過去の思い出に耽り、旅は終わりかと思われたが、まだまだ会いたい過去の恋人たちがいるとウードは言う。
その旅の終着点では、ボスにも関係がある、ウードの秘密が明かされる。

これは観るとお酒が飲みたくなりますね。
旅を通して、人が他人の人生に介入すること、人を愛するということ、自分の今を認めるということが描かれていました。

惹き込まれたのはカセットテープのA面からB面に切り替わるように、物語の雰囲気から登場人物に対する見方までをガラッと変えさせる構成ですね。
A面ではコミカルに、軽快な音楽を使って小気味良く進んでいた物語が、B面では打って変わって人間の汚い、うーん…お悪いところが浮き出てきて、重々しいシリアスなストーリー進行。
ボスとウードについても、序盤のキャライメージから段々と為人がハッキリしてきて、恋多きウードと一途なボスと明確に第一印象からガラッと変えてきていました。

正直今作は、病で弱ってるとはいえ、かつ本気でそうしようと仕組んでないとはいえ、ボスからプリムを失くさせてしまったウードのことを許せるかどうかが、評価ポイントの一つだと思います。
個人的にはプリムの言い分がザ・我の強い女性な感じがして少し苦手でしたが、そんな事実を知ってもなお、その過去を含めて今の自分だと言い切れるボスの存在でもって、作品として成り立っていたかなと思います。

原題は『One for the road』(最後の一杯)。
これは個人的解釈だとボスにとってのことで、プリムとの愛を旅の果てに手に入れたボスの「最後の一杯」は、場所や名前が変わっても、プリムが初めて作ってくれた一杯に変わりないんだと感じました。
邦題の『プアン』は“友達”という意味で、副題と合わせて、旅に巻き込み、過去の重大な秘密を告白しても、それでもまだ“友達”と呼ばせてほしいという、ウードの願いが込められているように見えますね。
Jun潤

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