ニューヨークのバーテンダー、ボス(トー・タナポップ)は白血病で余命わずかな友人ウード(アイス・ナッタラット)のために故郷タイに戻る。ボスはウードの頼みで元カノたちに会いに行く旅の運転手をすることになるが、やがてウードはボスのかつての恋人プリム(ヴィオーレット・ウォーティア)の話を始める。
これ、めちゃくちゃ好き。
確かに、ウードは超良い人に見えてヒドイ男だし、ボスは単純に嫌な奴で、どっちにも共感できない。
さらに、白血病の描写が適当だし、ラストはあっさりで都合良すぎるし、バーはなぜその場所?というツッコミどころも多いんだけど、それでもこの作品の雰囲気はストライクだった。
前半は瀕死の友人とのロードムービーなんだけど、効果的な笑いが随所に挟み込まれて楽しく観られる。なにより、ロードムービーに不可欠な音楽が最高!心地良い曲が目白押しだ。
カクテル作り、カセットテープ、キスシーンと、ナタウット・バズ・プーンピリヤ監督らしいスピーディーで凝った映像も美しくて、「バッド・ジーニアス 危険な天才たち」も良かったけど、こっちが好きだなー。
出てくる元カノたちがみんな個性的で魅力的なのも大きかった!
以下、少しネタバレ。
後半は姉が母親?プリムの取り合い?と話があっちこっちに飛んで、幼稚な恋愛ドラマっぽくなったんだけど、ちゃんと泣かせて爽やかに終わらせる脚本はお見事。
確かに、ウードのボスへの嘘は残酷だけど、ボスだって本気ならプリムを探せたはずだし、自堕落な生活も人のせいに出来ない。人生、いろいろあるけど、結局のところ自分で選んだ生き方なんだから、ウードには赦しを。そして悔いなく穏やかに眠ってほしい。