このレビューはネタバレを含みます
白血病になった親友と旅をする男の話。
映画の前半は、白血病になった男が元カノに会いにいく姿が描かれます。
特に紹介もないまま、男の恋バナを聞かされる事になるので、個人的にあまりピンと来ず…。
元カノの反応や恋バナで、男の知られざる過去が明らかになるわけでもないし、そもそも、死に際に元カノ全員と再会するという発想自体が、私にはよく分かりませんでした。
映画の後半になると、旅に同行していた親友の恋バナが語られます。
プレイボーイ風の親友でしたが、過去には真剣な恋をしていた事、そして、相手の女性に白血病の男も恋をしていた事が明らかになると。
前半の侘しい雰囲気とは打って変わって、ドロドロの三角関係が描かれる事になるとは意外でしたね。
ただ、この裏切りをクライマックスに持ってくるなら、もっと2人の友情を描いても良かったかもしれません。
一度ケンカ別れしている事もあって、2人が特別に仲の良い関係には見えなかったし、好きな女性の恋人と親友になる感覚もよく分からない…冷静に考えると、ちょっとサイコパスな行動ですよ…。
他にも、未成年の男にバーテンダーの女が手を出すか?と思うし、母が姉になる親友の家庭環境も謎なまま。
結局、白血病の男と疎遠になった事を考えると、果たして告白した事が正しかったのかと、モヤモヤが残ります。
そんなわけで、物語的にはイマイチだったわけですが、それでも最後まで見続けられたのは、映像が美しかったから。
湿気を感じさせない透明感のある撮影や、雰囲気を感じさせる画作りも良くて。
調べてみたら、ウォン・カーウァイがプロデュースしていると知って納得しました。
親友と恋人のデートシーンの荒い質感なんかは、かなりカーウァイを意識したんじゃないかな?
私が引っ掛かった部分も、ロマンス映画が好きな人なら、そんなに気にならないと思うし、ウォン・カーウァイが好きな人なら結構刺さる作品かもしれません。