きなこ

ヴィレッジのきなこのネタバレレビュー・内容・結末

ヴィレッジ(2023年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

藤井道人監督。
この方のつくるドラマや映画の中の闇深さや悪は、さもそれが正義であるかのような気持ちに持っていかれる。
本作品も。
出演俳優たちがハマり役。
もがく横浜流星が見事過ぎて。
栄転ターンでにこやかにしてても、どこか目が死んでるというか。
どん底を経験した人間が、一時的な幻、夢ん中にいる状態、みたいなのを体現してた。
テレビ出演前の笑顔はほんとにもうね。

あとはもう、古田新太の嫌らしさや一ノ瀬ワタルの極悪ぶりといったらもう。
言葉にせずとも。

閉鎖的な村の中で昔からなされている違法な仕事、
優が村や職場で受けている不条理な扱い、ギャンブル依存の母、全てに闇がある。
それでも、村で受けている扱いや職場のいじめには耐えていた。
不当な夜の仕事も、賃金はあった。
母親を捨てない心を持っていたし、そんな優と母親を気にかける大橋のような存在もいた。

間違いだらけではあるけどその中で秩序や社会が形成されいて、その中で生きていたし、生き続けると思っていた。きっとこのまま。

美咲や恵一の存在は悪でも何でもなく正義、希望。
でもそれすら間違いだったのではないか、この2人がいなければ、何も変わることはなかったのではないかと思わせるような世界観。
あの村の中では美咲は希望の象徴だったかもしれないけど、それでも感情支配的な面も感じてしまう。

息を吹き返した村や処理場の人間、
生きる意味を見つけ希望に溢れた優、
立ち直る母親、これが本来あるべき姿なのかもしれない。
でも、一瞬とか儚いとか言う言葉ではなく、こんなの幻だよなと思ってしまう。

そんな、嫌な感じの泥臭さ人間臭さが残る映画。
きなこ

きなこ