きなこ

福田村事件のきなこのネタバレレビュー・内容・結末

福田村事件(2023年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

限られた劇場でひっそりと上映される、そんな作品ではないなと思った。

時代描写や人物描写が長いなと感じたけど、村人、行商人、新聞社、それぞれが丁寧に描かれていて。それであって、終盤のシーンの残酷さが際立つというか。

いつしか殺すか生かすかの2択になってしまう集団心理の恐ろしさ。
直接見たものは誰もいないのに、みんながそう言っている、というとそれが事実になってしまうこと。

「朝鮮人だったら殺してもいいのか」
と発し、我に返った者もいただろうけど、結局1人の行動でその瞬間すらかき消されてしまった後は、あっという間に始まってしまい目を覆いたくなった。

川辺で命を奪われた青年の、
「なんのために生きてきたんだ」という言葉も重くのしかかったなぁ。

演者の皆さんも素晴らしかった。
井浦新さんと田中麗奈さんの夫婦も素敵で。
さきえさんは何にもとらわれない奔放な奥様だったけど、だからこそ本当のものが見えていて声を出すことが出来たのでは、と。こういう人がたくさん村にいたら、こんなことは起こらなかったのだろうなぁとも思ってしまう。

ただ、船頭と村人、船頭と奥さん、の色恋は必要だったのか?と思ってしまう。他に割いてほしかったなと。
きなこ

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