ブタブタ

ダークグラスのブタブタのレビュー・感想・評価

ダークグラス(2021年製作の映画)
4.0
繁華街近くにあるアート系を主に上映する中規模映画館ではなく郊外のシネコンにわざわざ見に行ったのは気分的にあの頃の空気を少しでも再現したかったからかも。
こういうホラー映画見るならやっぱり単館系シアターやアート作品とかとは無縁な一般大衆が集う場所にある映画館で見たい。
近くにゲーセンとかファストフード店がある所で。

1977年の『サスペリア』は厳密にはリアルタイムで見てないんですが80~90年代のホラー映画、スプラッター、スラッシャー全盛期に映画を見始めた世代なので。
生まれて初めてレンタルビデオ屋で借りた映画は『悪魔のいけにえ』で子供の頃住んでた街には今では完全に無くなった個人経営のレンタルビデオ屋があり1階は普通のレンタルビデオ屋でそこの2階は完全にそこの店長の趣味らしいSF・ホラー映画だらけのボンクラ小僧垂涎の空間で、狭い店内のVHSビデオが並ぶ棚には手書きのポップがビッシリと貼ってあった。
80年代を舞台とした『ファウンド』にも孤独なホラー映画好き少年がレンタルビデオ屋でホラーの棚を飽きもせず眺めたりB級C級スプラッター、スラッシャー映画を探索してるシーンがあって、あの頃の自分はリアルにそんな日常だった。

ダリオ・アルジェント監督と言えば「決して1人では見ないでください」の『サスペリア』そして10年ぶりの新作『ダークグラス』のコピーも「10年ぶりの約束です。決して1人では見ないでください」
サスペリアのポスターを模した赤と緑のレトロポスターも制作されてハッキリ言ってゼイリブみたいな本ポスターよりこっちの方がずっといい。

『ダークグラス』って波型にゆら〜っとしたフォントのカタカナでタイトルが出た瞬間もう劇場内は1970年代。
東宝東和に日本ヘラルド映画提供。
例えスマホ使ってようが劇中の世界は完全に70年代。
全てがあの頃のまま。
基本の基本、王道中の王道でスタンダードなスラッシャー、ジャッロ映画。
殺人シーンでのけたたましい音楽、不条理な展開(ご都合主義とも言う)、殺人鬼の呆気ない死に様、全てがあの頃見たスラッシャー映画そのまんま。
悪い意味でなくコレがVHSビデオであの頃のレンタルビデオ屋の棚に並んでも全く気づかない(あの小型通信機はなんだろう?とは思うだろうが)

惜しむらくはあの頃みたいな、配給会社の東宝東和や日本ヘラルド映画がその映画宣伝にしのぎを削っており、今なら完全にアウトの嘘・誇大広告がなかった事。
「全米40州で上映中止!!」とか殺人鬼の名前や設定を勝手に作ったり、登場しない凶器や武器等をポスターに描いたりやりたい放題だった。
なので『ダークグラス』も「アルジェント映画史上最凶の殺人鬼〝ブリーダー〟がやって来る!!」とかポスターにはライフル(不使用)と大鎌(未登場)持ったシルエットの殺人鬼が大量の犬を引き連れた姿で立ってるとかその位やって欲しかった。

正直『サスペリア・テルザ』見た時は失礼ながらもうアルジェント監督もこのまま終わりと思ったんですが、『ダークグラス』みたいな
基本も基本、王道の新作を作ったと言う事で次回作はもうちょっと変則的な『シャドー』とかあの辺りの作品を作って欲しい。
それからロメロが残した脚本を元にしたゾンビ完結作『トワイライト・オブ・ザ・デッド』の製作にも関わって欲しいな~🧟‍♀️🧟‍♂️
矢張りアルジェント御大あってこその『ゾンビ』『デモンズ』と言う二大傑作ゾンビ・シリーズは生まれたと思うので。
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