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千夜、一夜のmmmのレビュー・感想・評価

千夜、一夜(2022年製作の映画)
3.8
北の離島の港町で突然姿を消した夫を
30年待ち続ける女・登美子(田中裕子)
そこに失踪した夫について相談を持ち掛ける
奈美(尾野真千子)が現れる
2人の女の心の内を静かに捉えていく話

ただ待つということ。
「なぜだろう」と断ち切れぬ思いは、
終わらせることができない苦しみであり、
よすがでもあるように感じた。

“ささやかながら幸せな記憶”ってのは、
ちょっと怖いなぁ。
いや、結構怖いかも。

そんな状況も受け入れたうえで…
と登美子を想う春男(ダンカン)
この人がね、面倒ですね(笑)
「俺はこんなに想ってやってるじゃん」
みたいな上からの感じに
なおさら意固地になっているように見えたり…

春男の母や近所のおっせかいさん達の
煩わしさも田舎ならではなのかな。

変化に身を任せることができた奈美や
自分の夫と重ねてしまう奈美の夫に
登美子が抱いた感情の波みたいなものを
感じながらみてました。

ドキュメンタリーを中心に手掛けられている監督なので
共感でもなく感情移入させるわけでもなく、
ただただそこに佇む人を捉えるような雰囲気も良かった。

少々長く感じたけど、思うように流れない時間を
体感するためだったのかもしれない。

田中裕子さんが魅力的な作品でした。

それにしても、北の海って寂しそうに見えるの何でだろう。


◆独り言
内容は異なるけど、シャーロット・ランプリングの
「ともしび」(2019年日本公開)を思い出した。
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