ユースケ

ファンタスティック・プラネットのユースケのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

なんだこのクセがすごい映像は…例えるならパクチー、例えるならブルーチーズ、例えるならドクターペッパー…たまらん。

TABOO1、志人、DJ KENSEIによる【禁断の惑星 feat.志人】のMVで、【π】、【禁断の惑星】、【博士の異常な愛情】、【2001年宇宙の旅】と共にコラージュされていた奇妙なアニメーションを追い掛けて辿り着いた本作は、ステファン・ウルのSF小説【オム族がいっぱい】をヨーロッパ・アニメの巨星ルネ・ラルーが映像化し、カンヌ国際映画祭でアニメ史上初審査員特別賞受賞したSF・アニメの金字塔だった。

青い肌に赤い目の巨大なドラーグ族に人間そっくりのオム族が虫けらのように扱われる【家畜人ヤプー】な世界を、アラン・ゴラゲールのデカダンな音楽をバックにローラン・トポールがデザインしたシュールな動物や植物が切り絵を使ったアニメーションが蠢めくアバンギャルドな映像は、ヒエロニスム・ボッシュやピーテル・ブリューゲル好きの変態さんにはたまらない一本。

特に、イカれたセンスをビンビンに感じさせるドラーグ族の身体がピュルピュル動く触手によって溶け出し、ウニョウニョ変形を繰り返す瞑想シーンや毒ガスのタブレットを撒き散らす戦車をはじめ、待ち伏せタイプ、光線タイプ、吸引タイプ、回転タイプなど、ドラーグ族がオム族を狩るために開発した大量破壊兵器による虐殺シーンは必見。目眩を覚える悪趣味っぷりにニヤニヤが止まりません。オム族の過剰な喜怒哀楽の表情も要チェックです。

ちなみに、作品のバッググラウンドには地球のヒエラルキーの頂点に立ったつもりでいる傲慢な人間への皮肉の他に1968年にチェコスロバキアで起こった民主化運動プラハの春があると考えると作品の見え方が変わってくると思います。