日活ロマンポルノ50周年企画
ロマンポルノ・ナウの中の一作
最初に書いてしまうと、10分に1回の濡れ場というのが
ロマンポルノの定義らしく、ストーリーの中に
その必要性を感じないと、
ちょっとどうだろうなぁと思っていたのですが
松居さんが監督してどうなるのか気になって鑑賞
必要性、ありました。はい。
主人公のさわ子(福永朱梨)は、内向的に見える25歳
実家暮らしで仲の良い家族だが、父親(金田明夫)との
折り合いはよくない。
そんなこともあってか、巷のおじさんの生態に強い興味を抱き
仲良くなって食事にいくこともあれば、街中でこっそり
撮った写真をコレクションしたりしてる。
職場の上司と関りができつつある中で、
同僚の森(金子大地)と話す機会があり…
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…と書くと、やっぱりエロそうな雰囲気になっちゃいますが
実際は、エロもありの深いい話でした。
さわ子は、なんだか常に寂しそう。
おじさんに夢中になるのも
元カレ達に躊躇なく会ってしまうのも
なんだか心にあいた穴を埋めている
ようにも見える。
最初こそ、ちょっとあざとくも見えたけど、
思考を停止させているようにも感じた。
そんな時に動きだす、同僚・森との関係
彼との距離の縮まり方が実にリアルだったなぁ。
会うたび身体を貪るのも、
相性もあれど、それしか頼りどころがないようで、
なんか切なさすら感じる。
森も元カレも職場の上司も、
見事なくらいマイルドなダメ男で
(マイルドな分だけ質が悪い…)
ちゃんとそこを分析・指摘しちゃうのが面白い。
でも、体が繋ぐなにかって、あるのかもねぇ。
しかし森、ずるいわー。
原作があるのでご存じの方もいるかもしれないけど
ここから先の展開は、松居監督のロマンポルノ“ナウ”な
ちょっと素敵なものでした。
こんな爽やかに見終えるとは!
企画名に面食らってしまうかもしれないけど、
渋谷は上映期間が延長されたようなので
気になった方はぜひ!
◆おまけの話
ロマンポルノの定義には、ぼかしやモザイクを入れないと
いうのもあり、これは役者さんとスタッフさんの連携
見えそうで、ちゃんと見えない…凄い。
いくつかの決まり事以外は
表現の自由を尊重すると
いうことらしく、観終わってみれば、
これもロマンポルノっていうんだってくらい、
自由度は高いかも。