特に何かが起こる映画じゃない。
けど、すごく大切なものも心に残してくれるそんな映画。
映画館にまつわるエピソードを送るラジオで
中高生の時通っていて、高校生のときに閉館した映画館のスタッフのお兄さんと仲良くなった話を投稿したところ、
パーソナリティの方から「子供のときに少し年上の人と良い関係を持つって良いよね」と言っていただいた。
この作品の聡実と狂児ほどまで深い関係ではなかったが、
確かにちょっと年上の大人の人と映画について話すのはとても楽しかったし、
それは友人と話すよりも少し浮き足だって大人の世界に入ったような感覚はあった。
この映画はただただ声変わりに悩む合唱部の少年が、ヤクザに歌を教える交流のみを描いているが、
その「交流」こそが人生において大切なものであって、
そこから生まれる愛おしさだとか、辛いことも乗り越えられるつながりだとかによって
救われて、人生をやっていける宝物だと思う。
だから、とても映画的な映画だなと感じた。
エンドロール前に聡実が見つけたもので
狂児を感じたあの瞬間がとてもたまらない。