リゲル

カラオケ行こ!のリゲルのネタバレレビュー・内容・結末

カラオケ行こ!(2024年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

最初はキャスティングおかしいと思ったけど…見終わった今は「ビジュアルは全く違うのに狂児だった」という評判に完全同意。
めちゃくちゃ良い実写化だった。もう一度見たいし、DVDが発売されたら欲しい。
もともと素晴らしい原作に、実写化によって音が吹き込まれたことで、完全になったと感じた。
安易にBL味を増してないところ、あくまでブロマンスに留まっているところが良かった。学生生活パートが増えたことで聡実くんの成長物語(そのタイミングで出会った狂児との強烈な思い出)を描いたようにも見える。
原作ファンも、初めて見た人も楽しめる作品。

(映像化されたことで)
和山やま先生の絵柄的に、聡実くんが中学生だということを私の脳があんまり認識できていなかったが、齋藤潤さんが演じてくださったことで原作の世界をリアルに脳内に理解させることができた。

(原作との違いについて)
たんぽぽアニキが4点なこと、ミスの加点方式やと思うとかなり高得点やのにそれを説明しないことで劇場では「低!」っていう笑いどころにしてるのすごい。説明しないことで観客の捉え方は変わっているけど、「4点」というところは変えずに原作も守ってるところが考えられてると思った。
原作と違って、一度会場に行ってから狂児のために抜けることや、紅の歌詞の解釈を聞かされたことで、聡実くんがどれほど狂児に心狂わされたかがよく伝わった。
狂児と連絡が途絶えたと発覚する場面も、モノローグではなく中学生当時の聡実くん自らが言うことで「自分から狂児に連絡したのかな」と思いを馳せてしまった。

(ヤクザと中学生という関係)
宇宙人を殴るシーンで原作よりポップさが削られていたことで、ヤクザの怖さがしっかり描かれていた。
ヤクザの怒鳴りとか一般常識から外れた挙動に、音と動きが加わったことでヤバさがよく伝わった。狂児が属してる界隈のヤバさをよく理解したところで、和山やま先生が仰っていた「聡実くんの幸せ」という言葉の重みが増した。そしてこの作品の終着点について改めて考え、複雑な感情になった。
ヤクザの側面をしっかり描いているのにやっぱりポップで、劇場では思わず笑ってしまったし、周りも笑っていた。funnyという意味でもしっかり面白い映画だった。

(演技の話)
和田役の俳優さん、顔から演技から良い。中学時代にこんな感じの同級生居たなっていう絶妙な顔をしてるし、ガキくさいのに全力で怒ったり泣いたり、中学生のリアルなイタさがしっかり出てた。
みんなの歌の下手さが絶妙。狂児も歌えてるやんってタイミングと裏声がキモイタイミングがしっかりあった。
外見は全く違うのに、狂児すぎて綾野剛さんの演技力に驚いた。語尾の上げ方とかチョケ方が狂児すぎる。
聡実くんの声が掠れていく紅が刺さりまくった。あの演技は素晴らしすぎる。というかあれは演技やったんか?真に声変わりのタイミングやったんちゃうか?と思わされた。
出演者の関西弁、比較的違和感なく聞けた。

以下、好きなシーン
・大勢のヤクザに囲まれ狂児の腕にしがみつき、背中に隠れる聡実可愛すぎる
・カヅ子の話が嘘やったと知って、騙された自分とか嘘ついた狂児にプンスカする聡実の表情可愛すぎる
・キティちゃんの兄貴が聡実くんに優しく飲み物を聞いてくれるところ優しくて好き
・聡実パパが落ち込むところ可愛い。そのパパに気を遣う聡実可愛い
・宇宙人に絡まれて、ヤクザに本気だされると為す術もないということがわかったことで、狂児が普段どれだけ聡実くんに優しく接してくれてるかがわかって尊い
・聡実くんの紅を聴きながら壁にもたれて渋い顔をする狂児(「これ以上はあかんな〜、のめり込みすぎたな〜」っていう顔に見えた)
・狂児との思い出を振り返りながら歌う紅、懸命さが健気で泣ける。
・狂児が生きてたことがわかり、口元が緩んでしまってる聡実。そしてその時の狂児の肩組み
・リトグリの紅も非常に良い
リゲル

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