わっしょい

FALL/フォールのわっしょいのレビュー・感想・評価

FALL/フォール(2022年製作の映画)
3.7
その日、人類は思い出した。
高所という恐怖を。

ありそうでなかった高所ワンシチュエーション映画。
「ありそうでなかった」というありがちな言葉を使うのが申し訳ないくらいに、意外なほどしっかり怖くて感動した。

何の捻りもなしに、ただ高所から見下ろすアングルだけで、最高に怖い。
目の前に「死」があるという、根源的な恐怖を突きつけられた。

こういったスリラー表現は、序盤の鉄塔を上るまでに固まって使われていたと思う。
そういった意味で、恐怖感としては序盤がピークだった。

主人公たちが鉄塔を上るにつれて、ギシギシと軋み、ネジが緩んでいく。
この後に何かが起こるかもという不安感と、見下ろすアングルの視覚的効果で、恐怖が最高潮に達する。

一方、頂上に取り残されてからは、不安を掻き立てるシーンはほぼなくなり、アクションやサバイバルがメインになる。
ここからの展開も正統派に面白い。
展開のフリがかなり丁寧かつ、限られた物資の中でのサバイバルということで、想像の域を大きくは超えてこない。
けれども、それがむしろ見やすいというか、ちょうど良い具合に展開が読めて楽しかった。

梯子が折れて以降よりも、折れるまでの方が怖くて、何とも言えないリアルさを感じた。
実際に何かが起こってしまったら、一瞬のパニックの後に、解決のために冷静になる。
恐怖を感じる暇なんて無いんだろうなと。
恐怖心というのは、自分の想像力によって作り上げられるものなんだろうなと思った。
わっしょい

わっしょい