回想シーンでご飯3杯いける

GOの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

GO(2001年製作の映画)
4.5
映画を良く観るようになった時期に出会った作品で、その後、人種差別問題や南北朝鮮問題を題材にした映画を沢山観てきたので、今ならきっと当時よりも多くを感じる事ができるであろうと確信していた作品。そして約15年ぶりに再鑑賞した「GO」は、やはり最高だった。

この年の映画賞を総なめにした窪塚洋介と柴咲コウを始め、山本太郎や新井浩文等のエネルギッシュな演技。彼らの躍動感を拘りのカメラワークで捕らえる行定勲のセンスも冴えまくり。

そして、言葉にならない言葉を紡ぎながら登場人物の心情を描き出していく宮藤官九郎の脚本が神がかっている。いわゆる当時の若者言葉を多用しているのだけれど、この手の言葉が10年後には往々にして気恥ずかしい物になる場合が多い中、この「GO」で使用される若者言葉は今聞いてもなんだかとても格好良く、その言葉選びのセンスの凄さに、ただただ驚かされる。特に窪塚と柴咲がデートを重ねる中で距離を縮めていく様子が素晴らしい。

日本人による韓国人、朝鮮人に対する差別描写が激し過ぎるとか、暴力シーンが多いとか、人によっては苦手に感じる部分もあるかもしれないけど、ヘイトスピーチやネトウヨなんて面倒臭い言葉が存在しなかった当時だからこその単純明快な描写であり、だからこそ人種問題と青春/恋愛物語を一体にした熱い作品になったのだと思う。当時はまだまだ若手だった俳優とスタッフが集まり日本映画の新たなステージを生み出した、金字塔的な作品だ。