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バーバリアンのmのレビュー・感想・評価

バーバリアン(2022年製作の映画)
4.8
今年まさかの全米NO.1大ヒットを果たした新星ホラー映画がディズニープラスにて日本上陸。あのねこれ滅茶苦茶面白いんで、予告も見ずストーリーも何も知らずに見て下さい。予測不能な展開にぶん回される楽しさがある。

良いホラーの必須条件はまず演出のテクニックがあるかどうかだと思っていて、普段俳優もやっているコメディ畑のザック・クレッガー監督は恐怖演出も人物描写も滅茶苦茶巧い。センスもスタイリッシュで良い。この監督の次は要注目。
また、撮影の巧さとセンスも作品に多大に貢献している。

ホラー映画のもう一つのポイントって個人的には登場人物をどれだけ好きにさせるかだと思っていて(友人の受け売りでもある)、観客の中に芽生えたこの人は死んで欲しくないという思いがサスペンスに繋がる。
正義感・行動力・度胸に満ちた主人公の人物像と演じるジョージア・キャンベルの魅力は観客を惹きつけるのに充分だった。相手役のビル・スカルスガルド共々、監督は2人に速攻で感情移入させるようしっかり演出していてその点も素晴らしい。

脅威となる存在のバックボーンや存在自体が倫理的に物凄く危ういのだけど、この映画はその存在のグロテスクさや倫理的危うさを見世物として消費するのではなく、その存在の哀しみと同情を描く事を最終的に選択する。ラストには何とも言えない哀感があった。


男性性の有害さがモチーフになる作品でもあって、故意的な凄まじい加害・無意識下の加害のどちらも描いている。そのどちらも女性をモノとして扱い性加害するという点で共通しているのだけど、両者の出会いで片方が片方に対して批判する態度が何とも滑稽で、最終的な結末も含めて監督はそのどちらものグロテスクさをしっかりと批判的に描いている。この映画は女性を傷付ける人間を決して許さない、それが良かった。
こういう意味合いを心得た俳優が演じているのは作品の力になっている。ありがとうジャスティン


他の多くのホラー映画に登場しているように、廃れきったデトロイトの街自体がホラーであり、映画に街の哀しみや苦しみが刻み込まれている。


明らかにあの韓国映画からアイデアを得ている感じはあるけど、こういう応用の仕方はOKだと思う。
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