SPNminaco

バーバリアンのSPNminacoのレビュー・感想・評価

バーバリアン(2022年製作の映画)
-
そこは蛇の道、ゴーストタウンの暗い地下。そら出たぞ!と思った瞬間にホラーらしい怖さを迂回して、物語をぐるっとひっくり返す。展開は先が読めないけど、教訓はわかる。紐があっても引っ張るな!逃げれるうちに逃げろ!
誰も見えない所で、何も起きない間に何か起きてる(らしい)という部分がメインである。ホラーとしての進行方向(捕まる→逃げる→やっつける)は単純なんだけど、映画はわざと入口から素直に進まないルートにしてあるのが特徴だ。それはメチャクチャな設計で拡張したあの家の構造みたいで、デトロイトの荒れ果てた郊外自体もそう。産業と住人に棄てられたサバービアには魔物が棲んでるし、そいつは人のいない街を独自に再生産拡張し続けていた。
街の内と外、昼と夜は、映画の前半後半で主体となる女と男の立場でも様相を変える。そこが肝だし、よくわかる。誰も気にしない何も起きてない間にも警戒せざるを得ない女。一方、何も見てない何も起きてない限り、安全で気にしなくていい男。善人か悪人かは関係なく(判断できないじゃん)、男女は入口の時点でルートが違う。正面から出入りするか、窓を突き破るか、出口を確保するか、助けを呼ぶか助けに行くか、それとも秘密の部屋に閉じ籠るか。映画も家も、分岐した構造設計の理由がちゃんとあった。
しかし「Airbnbダブルブッキングものホラー」を観るのはこれで2本目なので流行ってるのかな。まあ、玄関開けてビル・スカルスガルドがいたら間違いなく警戒するよ!
SPNminaco

SPNminaco