かりんとう

バーバリアンのかりんとうのレビュー・感想・評価

バーバリアン(2022年製作の映画)
3.3
なぜか「男がクソ」な映画ばかり引いてしまう2024年。

エンタメホラーの中に、母性・倫理観・現代社会への問題提起を盛り込んでそれなりにコンパクトにきれいにまとめた佳作。

しかしコンパクト過ぎて、余白を読むのが苦手な方にはちょっと「?」が残りそうな印象。
とはいえ、世の中にはもっと「視聴者に考察丸投げ系」の映画は溢れているので、そこまで不親切な類とは思わなかった。
パニックホラーに分類されるのかもしれないが、ホッケーマスクの殺人鬼が若者を無差別にぶっ殺しまくるのとは違って、本作の怪物には大いに同情の余地がある。というか彼女は紛れもなく身勝手なサイコパス犯罪や忘れ去られた時代の被害者だ。

あの形での人生の幕引きは、もしかしたら彼女にとって最初で最後の救いだったのかもしれない。

ちなみに劇中に登場する荒廃しきったバーバーリー通りは、フィクションではない。
デトロイトは経済破綻のかなり前から治安は底辺だし、自動車産業で栄華を誇った面影はいまや皆無。
リアルデトロイトの風景を見ると、忘れ去られた空き家の地下に得体の知らない何かが巣食っていても不思議ではない…なんて考えてしまう。