こなつ

Dr.コトー診療所のこなつのレビュー・感想・評価

Dr.コトー診療所(2022年製作の映画)
4.0
16年ぶりに観る「Dr.コトー診療所」は、懐かしい顔ぶれに胸が熱くなった。中島みゆきの「銀の龍の背に乗って」の主題歌とともに、この作品のテレビ上映は鮮明に思い出すことが出来るほど心に残っている。

山田貴敏の同名漫画が原作のテレビドラマ「Dr.コトー診療所」の16年ぶりの続編。

出演者をあれだけ当時のままで集められるのは本当に凄い。それだけ制作スタッフや俳優さん達にとっても思い入れの強い作品なのだろう。

舞台は、日本の西の端に浮かぶ美しい島、志木那島。本土からフェリーで6時間かかるこの孤島に19年前、東京の病院からやってきた後藤健助(吉岡秀隆)は、コトー先生と呼ばれ、島民に親しまれ、島のただ一人の医師として島民全ての命を背負ってきた。

沖縄県八重山列島にあるとされる架空の島、志木那島のロケ地となった与那国島の自然、海や空の何と美しいこと。スクリーンいっぱいに溢れる青い海と空の輝きに吸い込まれそうになりながら鑑賞。

日本の進み続ける過疎高齢化、離島での過酷な医療状況などと共に島でのゆったりとした時間の流れや人間関係が情緒豊かに描かれている。

16年前、医師になるため東京の私立中学を受験したタケヒロ役の富岡涼さんは、芸能界を引退したにもかかわらず、この作品だけの復帰で登場。話題になっている。

小林薫も泉谷しげるも時任三郎もそれなりに歳はとってきているが、その存在感は健在。16年の月日を経て、ベテラン俳優達がより作品を魅力的なものにしている。

この作品をもって完結となり、続編はないといわれていることを考えれば、ラストのシーンは、コトー先生が倒れいく中での夢のシーンであり、皆がこうなれば良いのにと願いながらも叶わなかった未来の姿ではないかと思ってしまって、最後まで自分の命より島民を優先するひとりの医師の熱い思いに切なさが残った。

劇場に響く主題歌「銀の龍の背に乗って」が涙を誘う感動作。
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