こなつ

あつい胸さわぎのこなつのレビュー・感想・評価

あつい胸さわぎ(2023年製作の映画)
4.0
フォロワーさんのレビューで知って気になっていた作品です。

1月30日のFILMAGAの新着で、初日満足度ランキング1位というのを知ってこれは今絶対観に行きたいと思い、ミニシアター好きの後輩を誘って観てきました。東京都心で上映されている映画館が少ないのですが、満席とまではいかなくても、予想以上に埋まっていてジワジワ話題に上がっているのかなという印象。

若年性乳がんを題材に母娘の複雑な心模様を描いた人間ドラマです。

港町の古い一軒家に暮らす母・昭子(常盤貴子)と大学に通う娘・千夏(吉田美月喜)、二人を取り巻く人間関係を織り交ぜながら、重い題材ではあるがどちらかというと明るく、前向きに描かれている作品。千夏の初恋の思い出や好きな人から言われたデリカシーのない言葉。遠い昔の自分の経験を思い出すようなエピソードと映像。母の職場の木村(三浦誠己)や透子(前田敦子)、千夏の幼なじみの光輝(奥平大兼)やター坊(佐藤緋美)との交流なども心温まる場面が多く、それぞれの演技にも引き込まれた。

特に「ケイコ目を澄ませて」で弟役をやった佐藤緋美が素晴らしく、難しい役柄を驚くほど自然体で演じていた。すっかり佐藤緋美のファンになりました。

ロケ地の和歌山市雑賀崎の映像が魅力的で、素朴な海岸の様子、家々が傾斜地に立ち並ぶ町、千夏が自転車で走り抜ける通り、昭子と千夏の親子関係と同じ温かい町並み。何もない田舎の町のロケーションなのに何故か観ていて癒された。

アクションや刺激的な映画を好む人には物足りないかもしれませんが、やっぱりミニシアター系のこういう作品は好きだなぁとあらためて思いました。

自分が代わってあげたい、本人以上に辛く苦しむ母の言葉、本人は今どきの若者、何とかなるとあっさりしているようで、遠くを見つめる瞳は不安が隠しきれない。

新人吉田美月喜さんが、若い頃の上野樹里さんに似ていると思ったのは私だけだろうか。素敵な女優になる予感。

ハルさん、ぶみさん、samiamさん、観にいきましたよ。有難うございました。
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