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エゴイストのbck375のネタバレレビュー・内容・結末

エゴイスト(2023年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

家族などについても丁寧に描かれていて色々な考えが去来する映画でした。同性愛をテーマにした邦画で他のテーマについても描かれる作品が増えた昨今を嬉しく思いつつも、同性愛にまつわることをたくさん考えさせられました。
上映現在も同性愛は「隠すべきもの」「タブー」であるというような通念が、おそらく当事者にも当事者では無い人にもあるかと思います。
本作は主役2人の振る舞いや周りの人達との関係が丁寧に描かれています。その中でおしゃれな服装、化粧がこうすけの内面の武装として描かれたこと、ゲイの友人の集まりで「結婚」のこと等がジョークとして話されていたこと、りゅうたが本来とても大切な性的なことを早々に仕事に変換して苦しんだこと等はそのような「隠すべきもの」というような価値観が反映しているようにも思われ、改めて好きなものを隠し好きということが憚られる人がいるという現状(同性愛者に限らず)を憂うこととなりました。
あんなに愛情深いこうすけが「愛がわからない」と話したり、金銭等での保証を得ざるを得なくなったりということから、改めて色々な愛を求められる寛容な世の中になると良いなと思いました。
タイトルの「エゴイスト」について、作中ではこうすけ、りょうた、お母さんの「わがまま」「遠慮」等が出てきます。ただしこれらの表現は「愛」とかなり隣接した表現であったように感じられました。またもしかしたら2人が異性であったり、結婚できたりということがあればそもそも「わがまま」でなかったかもしれないな、等と色々考えることになりました。

最後に、同じ映画館で男性女性、1人2人グループで様々な人が来ていたのが良かったです。愛について考える映画でした。たくさんの人に見てほしいです!
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