両親を亡くした4人兄弟姉妹が、末っ子遙風の提案によって家業の廃業や家を売ることを巡ってやりとりする物語。
仕事でも家族の問題でも、合理性を求めてズケズケと人にモノを言う姿が際立つ遙風の言動は、揺れ動く感情や周囲への想いなど、煮え切らないように見える人達の人間らしさを際立たせる。
他方で、社会的な負荷のかかる家の相続問題や空き家問題を考えると、今の遥風のやり方に非情さを感じても、どこかでこれでよかったんじゃないかと思う節も私にはある。
とはいえ、帰る家が物理的になくなるということに対するなんとも言えない余韻も残り、何事にもすぐに口を挟む遙風が、言葉に詰まった先に何を感じたのかと考えたくなるラストだった。