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オッペンハイマーのmakiのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
3.9
終わってみれば基本的なストーリーはわかりやすい。けれど、思い起こせば思い起こすほど、まるで違う映画を何本か見たのかなと思うような印象があるのはなぜなのだろう。

オッペンハイマーの物理学者としての優秀さと、理論上"ほとんどゼロ"という大気に引火し続ける危険性を残したまま実験に踏み切ることを判断する愚かさ。私生活にも垣間見える彼自身のなんとも言えない思考や行動への理解のできなさに対する混乱。ストローズという存在を描くことにによって一瞬感じてしまったオッペンハイマーへの同情心のようなもの…。そういうものが、時間軸が交錯する戸惑いとか、公聴会で突然描かれるよく分からないシーンとか、とにかく恐ろしくて強烈な印象を残す実験のシーンの描き方とかの手法的なものによって色々と揺さぶられ、不思議な感覚になる。
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