藍紺

SHE SAID/シー・セッド その名を暴けの藍紺のレビュー・感想・評価

3.9
MeToo運動の始まりともなったハリウッド映画プロデューサー性暴力事件の真相とは。

色々な方が言及されてたけど、確かに「大統領の陰謀」を思い出す映画だった。NYタイムズの新聞記者をキャリー・マリガンとゾーイ・カザンが演じ、二人がタッグを組んで取材調査していく過程が淡々と描かれている。調査する彼女たち自身、家庭と仕事の両立の狭間に悩みながらも、ハリウッドの権力構造に切り込んで行く。直接的な性暴力を映し出すことないが、音声が生々しくて十分エグい。酷すぎて何度も怒りがこみ上げた。

自分などは加害者本人に怒りの矛先が向いてしまうのだが、被害者自身が加害者のセラピー受診を希望したり、諸悪の根源は”人”ではなくあくまでも”歪んだ権力構造”であるという前提で物事が進んでいくのはアメリカらしいなと感じた。ただやっぱりあまりにも加害者の人権ばかりが守られていて、被害者は被害者になった瞬間から谷底に突き落とされたような現実が待っているのは理不尽すぎる。声を上げるも地獄、泣き寝入りするのも地獄。自分ならどうするだろう?自分の大事な人がこんな目にあったら絶対に許せない。
心の傷は受ける前には元には戻らない。でも未来に同じ目に遭うかもしれない人を救うことはできる。そう思わないとやってられない。

唯一の癒しはパトリシア・クラークソン演じる有能上司レベッカ。彼女があまりにも素敵で眼福!あんな上司の下で働きたい……。私は夢部下になりましたw
藍紺

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