若色

SHE SAID/シー・セッド その名を暴けの若色のレビュー・感想・評価

4.3
映画、特にハリウッド作品が好きな人は必見の名作。

me too運動は知っていたが、容疑者はプロデューサーという、表に出ずらい役職であるため、彼がこれまでどんな作品を世に出したかは知らなかった。
だから改めて調べてぶっ飛んだ。「パルプフィクション」「英国王のスピーチ」、「シカゴ」に至っては、人生で1番観た映画と言っても言い過ぎではない、大好きな映画だ。
この映画の裏側で、これほど多くの女性が被害に遭い、黙らされてきたとは。

ホテルの一室での被害者と容疑者の音声は吐気がする。
どれだけNoと拒絶しても、聞こうとしない容疑者。どれだけ怖い思いをしたことか筆舌に尽くしがたい。

この悪行を暴いた2人の女性記者。
しかしこの映画は2人をヒーローにするのではない。彼女達を取り囲む全ての人々や連携があって成し得た記事だと言っている。
組織はともかく、家族、そしてサバイバーと言われる、性的被害を公表した人々。全てのパズルのピースが揃い成しえた快挙だ。
もし本映画が1990年代に公開されていたら、この2人の女性記者に子どもがいた部分を隠されていたかもしれない。
90年代に好まれたバリバリのキャリアウーマン像に脚色されていたかもしれない。そして彼女達のファッションも、パンツスーツ一択であっただろう。

しかし本作ではそうしない。
彼女達は妊婦で母親で産後鬱で、ノースリーブのワンピースを着こなす、ごく普通の女性だ。

それもそのはず、監督が女性と聞いて納得した。
男性が作り上げた女性像に塗り潰された時代は終わったのだ。

映画の各所に光る画角のバランスの良さ。クラシック音楽をオマージュしているサウンド。
丁寧に、洗練に描かれている。

もう一度言う。
もし本映画により告発される、映画プロデューサー ハーヴェイ・ワインスタインが世に出した作品にあなたのお気に入りが1作品でもあったら、この映画は必見だ。
若色

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