死別、不安、悲しみ、鬱憤、妬み、全てのストレスが膨らんだ風船のようにパンパンになった時、正論なんて通じない。誰にだって正義があって、それに従っている。
後半の殺戮シーンに批判がある。下手な作りだと。
わたしはそうは思わない。森達也さんほどの人だ。観てる人が思わず目を背けたくなる演出だってできたと思う。仮に森達也監督がその指導をできなくとも、そういうシーンの演出に長けた人を呼べただろう。
でも違う。
多分、人が殺される時なんて、こんなもんなんだ。
ドラマチックでも、劇画でもない。
きっと淡々と、いとも簡単に死んでいくのではないか。
部落、朝鮮、ハンセンの人、不義理を犯した人、大学に行き徴兵を逃れた人、差別の種なんていくらでもそこらじゅうに転がっている。
監督の丁寧な描き方に好感を持ちました。いい映画です。