竜平

SHE SAID/シー・セッド その名を暴けの竜平のレビュー・感想・評価

4.0
ニューヨーク・タイムズ紙の女性記者二人が追うことになる、映画業界の超大物による性的暴行事件、その暴露までの経緯と真実を描く。キャリー・マリガン、ゾーイ・カザン主演で贈る実話モノ及び社会派ドラマ。

今作にて悪行を暴かれることになる人物、これはアメリカでは結構名前も知られてるのかな、映画会社「ミラマックス」の創設者であり映画好きならばきっと一度は見ているであろうヒット作を世に送り出してきたという大物プロデューサー「ハーヴェイ・ワインスタイン」。見終えた後で彼のことを調べてみるとまた更におもしろくなると思う。そんなこんなで実名もバッチリ出てるし、規模的にも、もうガチもんの暴露話。被害にあったという女性たちは取材にて頑なに口を閉ざすわけだけど、そこにあるのは業界の闇、権力による脅迫。金や圧力でねじ伏せ示談に持ち込み、記事はもみ消され、何事もなかったかのように加害者はそれをまた繰り返す。こーゆーのってあるんだろうなと想像してたつもりだけど、事実としてバッチリ語られていくわけだから、もうね。それぞれが当時の出来事、トラウマを自ら語るシーンなんかはとくに胸が痛む。もちろん劇中で取材を受けてるのは本人ではないんだけど、キャストたちの迫真の演技よ。で今作で驚くのが、実際にあった事件ということで実在の女優たちの名前が出てくると同時に、劇中にも本人役でローズ・マッゴーワン、アシュレイ・ジャッドといった女優が一部出演してるという点。記者含め関わったすべての女性のエピソードに、例えば結末がわかっていても引き込まれてしまうし、そのシリアスな話題に目が離せなくなるはず。

記事として世に出たのが2017年、で判決が出たのが2020年、ということで本当に最近も最近の話なんだなと。で今作にて取り上げられてる話はじつは90年代から続いてたというんだからその根深さに驚く。この出来事が昨今話題になったSNSでの性犯罪告発運動、所謂「#MeToo 」に繋がり、世間の女性蔑視問題への意識をより一層強めた、というのはわりと有名な事実。詳しく知らなかった身としていろいろ知れたし、映画でこのように取り上げてくれてくれるのはありがたい。どんな悪行もいつかは暴かれる、そう信じたい。
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