Jun潤

THE KILLER/暗殺者のJun潤のレビュー・感想・評価

THE KILLER/暗殺者(2022年製作の映画)
3.6
2023.06.11

予告を見て気になった作品。
もはや説明不要、安心と信頼の韓国産クライムアクション。
なんですかね、作り方や最初の走りの部分から邦画とは全く違うというか、劣っているとは一概に言えないだろうし個人的には言いたくないので、いわゆる日本と韓国の“違い”も感じ取りたいような今日この頃。

元凄腕の殺し屋、ウィガン。
現在は不動産業で儲けたお金で悠々自適に暮らしていた。
ある日、妻の頼みで友人の娘を3週間預かることに。
ウィガンと会ったユンジは生意気盛りでウィガンをタクシー扱いするが、ユンジが友達のへジュが原因のトラブルに巻き込まれたことをきっかけに、ユンジはウィガンに心を開き、懐くようになる。
しかし、ユンジが巻き込まれたトラブルには、売春や汚職が蔓延る闇組織が関わっており、ユンジを救うため、妻との約束を守るため、ウィガンはもう一度殺し屋として動き出す。

うん、良くも悪くも普通の韓国産クライムアクション。
いや、この水準で普通と感じてしまえる時点で感覚がバグってるんですけどね。
なんでしょうねこのアクションの完成度の高さというか、香港の血が混じっているからか、殺陣やアクションというよりも格闘技というか、何かの流派の試合にさえ見えてしまいますね。

お話的には若干のハードボイルドを交えつつも、感情が揺れ動くなく人を殺める殺人者が、少女を守るというただそれだけのために立ち上がるダークヒーローものの鉄板という感じ。
しかし序盤にあった、ウィガンの過去の任務の様子を観せて強さの裏付けをしたかのような場面が、実は現代と地続きでしたという種明かしには面食らいましたね。

家出少女が犠牲になる買春商売という社会の闇的な要素を垣間見せつつ、全員殺せばそれでハッピーエンド!な感じも、多少強引でしたがなぜか爽快感もある不思議。
しかしウンジを救ってそれでOKではなく、根本まで入り込んで解決に向かおうとするのは少々冗長というか、盛り上がりが尻すぼみしているような感じもしましたね。
ただ、キャラクターをどんどん増やしまくるのではなく、言及された人物について結末まで描写するのは良い丁寧さでした。

中盤にあった、ウィガンが今もずっと忘れずにいる少女の殺しの依頼についての話が、年頃の少女が持つ言いしれぬ孤独感をウンジに通じさせるためのものだけでなく、ウィガンがウンジの面倒を見続ける約束に固執する理由にも繋がっていて、それもあって苦味の残らないスッキリとした終わり方になっていました。
Jun潤

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