ワンコ

熊は、いない/ノー・ベアーズのワンコのレビュー・感想・評価

4.5
【熊は、いるのさ】

昔の彼女がよく「〜したい」という人で、めんどくさくなった僕は「いつかね」と答えるようになってしまっていた。そしたら、彼女がある日「いつかとオバケは出て来ないんだぞー!」と怒ったことがあった。
まったく正しい😁

ただ熊はいる。

故ジャニー喜多川の性加害問題について、姪の藤島ジュリー景子氏が当初SNSで知らなかったと発言した。

第三者の調査を経て、今は(噂や記事は)知っていたと言っている。

熊はいないと言っていたが、熊はいたのだ。

“当社では過剰なノルマはありません””性差別やマイノリティを差別はしてません””不正はありません”なんて耳にタコができるほど聞いて来たけれど、熊は必ずと言っていい程いた。

ただ、この作品は、どこか滑稽でもある。
村人の朴訥とした感じや、ジャファル・パナヒ監督のなかなか思い通りにならない様や、邪魔が入ったりするからだろうか。
しかし、結末に触れ、実は重苦しい…というか、暗澹たる気持ちにもなる。

言論弾圧はありません。
人の往来も自由です。
基本的に人々は自由です、
なんて言うけれど、そんなことはないのだ。

それにもう一つ重要なのは、政府組織とかそんなことじゃなくても、因習が自由を奪うことだってあると当たり前だが思う。
言い伝えだとか、掟だとか言う場合もあるような気がする。
実は新しい価値を認められないだけじゃないのか。

何気ない日常も含めて、いるはずのない熊がいることは多いのだ。

パナヒ監督はファイターだと思う。
ワンコ

ワンコ