Jun潤

熊は、いない/ノー・ベアーズのJun潤のレビュー・感想・評価

3.5
2023.10.15

予告を見て気になった作品。

トルコの街中で、ドキュメンタリー映画の撮影を行なっている一組の男女と助監督。
パナヒ監督は、イランの国境近くの村からリモートで指示を送っていた。
その村の中では、古いしきたりによって自由恋愛が禁じられるなど、見えない檻に囚われていた。
さらに村内にそんな古いしきたりにとらわれまいとするカップルと、トルコのカップル、それぞれに信じがたい運命が待ち受けていた。

なる、ほど、、なぁ……。
島国である日本からすれば、一歩歩いた先が違う都道府県みたいなノリでは済まされない、全く違う国が未知の先、川の先、森の向こう山の向こうにあるというのは、身近な感覚にはなかなかできないもの。
しかしそんな価値観の齟齬があるからこそ、ゼロベースで作品を鑑賞し、虚構と現実の間で、実際に同じ星の違う国で起きていることについて自分の中に入れることができたかなと思います。

『熊は、いない』のか?
二組の男女、街と村の二つの舞台で、制度的な『熊』の存在と心理的な『熊』の存在を感じられた気がします。
誰かが実際に『熊』の姿を確認をしたわけではないけれど、居そうだからと雰囲気的に、もしくはなにかしらの忖度があって規制線を張っているのではないか。
これまでもそうやってみんなで見ないようにしてきたのだから、実際にいるとしてもいないと信じ続けたいだけではないのか。
どちらの解釈にしろ、本当に『熊は、』どこにも『いない』のか?
Jun潤

Jun潤