Yellowman

アルゼンチン1985 ~歴史を変えた裁判~のYellowmanのレビュー・感想・評価

4.0
1985年のアルゼンチンで、実際に行われた軍事独裁政権に対する裁判を基にした作品。
1970年代から80年代にかけてアルゼンチンの軍事政権が反体制派とされる約1万5000人から3万人を誘拐、尋問、殺害した“汚い戦争”にまつわる法廷劇。軍事政権のメンバーが戦争犯罪を問われた裁判は、800人を超える証人が呼ばれ、280のケースが審理された同国史上最大のものとして知られる。
初老のフリオ・ストラセラ検事、若さ溢れるルイス・モレノ・オカンポ副検事が中心となり、法を信じる若者たちが一丸となり、強大な相手との裁判に挑む。

裁判がスタートする前は、国のファシズムを恐れて、逃げ腰だったフリオ・ストラセラ検事だが、若き副検事のオカンボの熱意や、自ら調査を買って出た若者達が集めた数々の証拠や被害者達の声を直に聞き、検事として、何をすべきかと立ち返る。裁判が始まってからは、毎日のようにかかってくる嫌がらせの電話や、道端で遭遇する軍からの回し者につけ回されながらも、決して裁判への情熱は揺るぐ事なく、本編クライマックスのフリオ検事の10分にも及ぶ論告求刑は、裁判所にいた被告側を除く全ての人達に響いた。
勿論、観ている側にも。

本作で、改めて当時のアルゼンチンの軍事独裁政権がいかに残酷だったか、誘拐、拷問、殺人はナチスの影響もあっただろうと思われ、現在の北朝鮮やロシアの問題もシンクロし、非常にやるせない感情を覚える。

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