やれやれ

ボーンズ アンド オールのやれやれのレビュー・感想・評価

ボーンズ アンド オール(2022年製作の映画)
4.2
「人を喰べてしまうだけ」の男女のロードムービー。
実に10代の”人間臭い”繊細さに溢れてるじゃん。めっちゃ良いじゃん。

世間と隔絶された位置にある男女がもがきながら荒野をドライブし続けて自分の現在地を知るために、過去を知り、未来を求める最高の映画でした。

心情とリンクした音楽含めて映画(フィクション)でしかできない表現で溢れていて、それがとても良かった。

観終わった後、カニバリズムを大上段に構えて語る気になんかならず、
自らが選んだわけじゃない環境のせいで孤独を感じたり他人との差に悩んだり、それを打ち明けられない事で苦しんだりもがいたりすることあるよね、って。

そんななかでも、大自然でドライブすれば気持ち良いし、なんならそとで寝ころびたくもなるし、遊園地にだって行きたくなる。なにより同じ境遇の近い年齢の異性に出会ったら情愛が沸く。

繊細な時期に繊細な境遇を持ちながらも新たな世界に飛び出す、社交的だけど孤独を背負った男と、内向的だけど世界とのつながりを求める女。

一つ一つの性格が、物語を進めるための要素じゃなくて、人物にちゃんと返ってくるところも良かった。

あと、ティモシーシャラメが色気がありすぎてヤバかった。
ズルい。
自分自身を壊してしまいたい衝動を内包している壊れそうな繊細さがシャラメの顔面とバッチリあっていた。

カニバリズムに気持ちが寄ってしまうから、宣伝文句に「世界が賛否両論」とか安易な一文は入れないでほしいな、というのが唯一のマイナス点。

ラストシーンがタイトルと繋がっていく感じも好き。
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