このレビューはネタバレを含みます
懐かしい父娘の映像が流れ続けているのに通奏低音のようにずっと漂う不安定さは、両親が離婚してるからとかそんな話じゃなくて、世の中にもう居ない人の映像を見てるからとかじゃなくて、
若いうちに結婚して子供産んで、金が無くて、嫌いになったわけじゃないのに別れなきゃいけなくて、故郷もなくて、未来もなくて、寂れたリゾート地に居るし、みんな楽しそうだし、
なんか未来が見えない苦しさと目の前に可愛い娘が居る事の板挟みに、溺れ死にそうになった。
もう会えない理由は、離婚じゃなくて死別だし、なんなら自殺なんだろうなと感じさせるのがよりしんどい。
切ないというより、しんどい映画だった。
現在から過去を見ることで、初めて(厳密には初めてじゃないんだけど)知る微細な感情があるとするなら、
インスタントに消費されるものではない写真とか映像って強い意味があるなって思わせる映画で、その力強さは希望だった。
健気な娘が皆んなを巻き込んで歌った初めて聞いた誕生日を祝う歌が、あまりにも知らなくて笑った。
そん時くらいしか笑わなかった。
そういう100分も大事だなって思わせる力強いしんどさがあった。