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アテナのSSDDのレビュー・感想・評価

アテナ(2022年製作の映画)
4.1
■概要
13歳の少年が警察官による暴行で死亡。アテナ団地では犯人の身柄を求めて暴動が激化していく。
団地には殺された少年の兄が二人違う立場で居た。
暴動が大きくなっていき、混沌の世界に飲み込まれていく…。

■感想(ネタバレなし)
長いワンカットとカメラワークが秀逸で被写体になっている人物の上半身を正面に捉えて背景だけが動いているので、まるでどこに行くのかわからない感覚を生んで没入観が強くなっている。暴動という暴力行為にも関わらず色彩が鮮烈で魅せられる。
終始緊迫感が強く、どこにもやり場のない怒りと若者たちのエネルギーがうねりを上げ破壊を生み出していく。
自身が住んでいた団地を破壊してまで衝動を抑えられないというのがまったく理解できないのだが、海外のデモや暴動に向かうエネルギーは恐ろしいものを感じる。
何のけなしに観はじめたが恐ろしい没入感のある作品だった。












■感想(ネタバレあり)
セバスチャンは何者だったのだろうか、元軍人でPTSDで壊れてしまった人間というところか。
呆けていたと思ったら的確にガスタンクの位置を指示して破壊範囲を決めていくところや、金庫を爆破するなどあまりにも慣れた感じが恐ろしかった。
暴動を扇動していた弟が死に兄が怒りのあまり意思を引き継ぐ形となるのを痛ましく、内なる怒りをどうにも処理できないという描写が凄まじかった。

最後には極右の反抗だったことが分かるが、集団的な意識の中指向性を他人に操られてしまう危うさを警告する内容に、日本でも私刑としてネットリンチに参加してしまうようなことも同じ。
個人で責任を持って秩序を保つべきだと本当に思うところだった。
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