SSDD

愚行録のSSDDのレビュー・感想・評価

愚行録(2017年製作の映画)
4.1
◼︎概要
週刊誌の記者が一年前に起きた一家殺害事件の取材を始める。自身の問題について意識しないように取材に没頭するようになるが、証言者達の過去から本性を垣間見ていく…。

◼︎感想(ネタバレなし)
兎角重く辛い、淡々と胸糞の悪い人間性を疑う証言や人間関係を聞いていくうちに仄暗い気持ちになっていく…。深淵に向かっていくかのような進行は、嫌悪感も覚える中、どう話が進んでいくのか没入していってしまう…なんとも重厚で醜悪な物語。
よくできたシナオリでどこまでも深く落ちていくような作品が好きであれば必見です。










◼︎感想(ネタバレあり)
・秘密
ネグレクトで死んだ子供は兄弟間の子供だったという衝撃。
妹の殺人についての独白。兄はいつか聞かされていたに違なく、取材と称して過去を洗い出し、妹に話を繋がる人間を見つけ出すことを目的とし、殺害する主人公。

やたらと煙草をくゆらすシーンが多いとは思っていたが、犯人に仕立てるために吸い殻を用いていくとは思いもよらなかった。計画性の高さが恐ろしい。

・愚行録
出てくる人間のほぼ全ての愚行…異性を利用し都合よく扱う恐ろしさ、浅ましさが嫌悪感を抱く。階級を意識し他人を利用してきた人間が惨殺される末路。

虐待を受けて育ち捨てられた子供達には幸せは訪れないのか、何かが壊れている兄弟達の疲れた顔はあまりにも恐ろしい顔だった。誰の愚行なのか…主人公の愚行録であるオチは予測はしていたが、愚行の内容までは読めなかった。

・総評
嫌悪感で観られなくなるようなストーリーを秀逸なサスペンスシナリオが補い、驚くような事実や殺人シーンでも無音などトーンを変えずに進むことで魅せられてしまった。
演出に無駄がなく、ここで驚けというエゴ的なおしつけ演出がないのが素晴らしい。
醜悪で秀逸なサスペンスでした。
SSDD

SSDD