このレビューはネタバレを含みます
視聴後の最初の感想は、有村架純があまりに当たり役だったし、申し訳ないが「有村架純ってこんなにお芝居できるんだ」という驚きでもあった。
元風俗嬢でお弁当屋に勤めるちひろの奔放さと人柄で、ちひろと関わるみんなが影響されていく様子。取り立てて大きな事件が起こるわけではないが、ちひろと関わる人たちの人間ドラマがそれぞれ面白く、視聴者を飽きさせない。
ちひろは、受け止める人だ。誰からのコミュニケーションのパスも、メッセージも、受け止めてちひろの玉で投げ返す。決して接触を拒否しない。だからこそみんなちひろに惹かれるのだと思う一方で、どんなに明るく振る舞ってもそうしたスタイルはいずれ疲れてしまう。そんな様子も後半は描かれていたと思う。
欲を言えば後半も「明るいちひろ」がもう少し見たかったが、それはこの映画の評価に影響しない。有村架純の名演も相まって、本当に面白かった。有村架純がミステリアスだけど自由奔放で、さらに性的な魅力を十二分に発しているように見えた。セクシーさ、と言うとこの場合は一番適切なのかもしれないな、と思った。
そして何より、一見自由奔放で誰よりも社交的に見える人ほど、内面には孤独と葛藤を抱えていたりするものだよな、と思った。いろんなことを考えさせられる一作だった。名作。